きっかけは、ポートランドとの出会い。
The WeiRdのブランドを立ち上げ、
第一弾としてポートランドを選んだ理由。
それは、夫と出会い、アメリカとの縁ができたことでした。
これまで私にとって海外旅行とは、
「知らない世界を体験できる」
「新たな刺激をもらえる」
「異文化を学べる」
そんなイメージを持っていました。
学生時代から海外旅行へ行くことが
趣味だった私ですが、
その目的は「新しい刺激を得ること」
そして、「自分のこれからの人生に活かすこと」
だったように思います。
それまでの海外旅行の楽しみ方も、
私にとってはとても有意義なもので、
実際に価値観の変化が起こったことによって
ものの考え方の幅が広がり人生が豊かになった、
そのように感じています。
ポートランド・ショートステイ。
そんな中で、私の中で
海外旅行への価値観が変わったきっかけは、
大学を卒業し、社会人になり、そして結婚したとき。
「親戚が、アメリカのポートランドにいる。」
そんな一言が夫の口から出てきました。
自分の身内に海外在住の人がいる
ということに無縁だったため、
初めて聞いた当時は
不思議な感覚だったことを覚えています。
コロナ禍での結婚で、
挨拶もできていなかったことから、
コロナが終息した頃、挨拶も兼ねて、
ポートランドを訪ねることに。
肌で感じる、ポートランド生活の朝。
さっそく、親戚の家で二週間の
ポートランド・ショートステイが始まりました。
一室を借りて、二週間滞在させてもらえることに。
朝、差し込む日差し、
小鳥のさえずりとともに自然に目が覚め、
まだ眠い目をこすりながらリビングへ。
ホットコーヒーを淹れながら外に目をやると、
庭先をリスが走り抜けていく。
それを、室内にいるボーダーコリーが
目で追いかける。
テレビやラジオ、車の音もしない、
コーヒーの音とボーダーコリーの足音、
庭先の小鳥やリス、風の音だけが聞こえる
静かな時間がゆっくりと流れていました。
そして、特に印象的だったのが、
柔軟剤の柔らかな香りと、
淹れたてのコーヒーの香ばしい香り、
昨日の食事の香り、
そして外からほのかに香ってくる、
雨上がりの朝露、そして草木の香り。
ひんやりとした空気とともに鼻を刺激する。
「日常の些細な香りまで感じられるなんて、
なんて贅沢で素敵な時間なのだろう」
私の中で海外旅行といえば、
スケジュールをいっぱいに詰めて、
朝からバスや電車に揺られ、
観光スポットへ移動するという
ワクワクや新たな刺激が
たくさん詰まったものでした。
でも、海外にだって当たり前に生活がある。
そこで毎日を暮らす人々がいる。
観光地だけが、目に見えるものだけが
海外なのではなく、
その場で感じる空気も含めて海外旅行なのだ。
当たり前のことなのに、
忘れていた感覚に気付かされました。
その土地だから実現できる
当たり前のライフスタイルを体感すること、
これも海外へ行くことの醍醐味なのではないか、
そう思いました。
「空気感」の伝え方。
この体験に衝撃を受け、
さっそく帰国後、周囲に伝えようとしました。
同時に、この「空気感」の素晴らしさを、
言語や写真、映像で伝えることの難しさに直面しました。
アクティビティや観光地の素晴らしさは
映像ではっきりと伝えることができますが、
「空気感」というものは、
やはり視覚、聴覚に加えて、
嗅覚も合わさって
初めて生まれるものなのかもしれません。
だからこそ、当時はポートランドの朝の良さを
うまく伝えることができませんでした。
"香り"が持つ力。
一方で私自身、社会人1年目から約3年間、
香り商材の商品開発をしていました。
個人的にもアロマテラピー検定を
取得したりしていたのですが、
特に自然界の植物などから抽出する
「天然香料、精油、エッセンシャルオイル」には、
抽出した成分に様々な効果があるといわれています。
それは、植物自身が身を守るために発する
「忌避効果」であったり
逆に虫に花粉を運んでもらって
子孫を残すために発する「誘引効果」だったり。
そして、そのそれぞれの効果・成分が相まって、
人間の自律神経にも作用をして、
心が落ち着いたり、元気が出たりする、
というメカニズムです。
また、もう一つの作用として、香りを嗅ぐと
記憶をつかさどる脳の海馬や
感情に作用する扁桃体に直接信号が送られることで、
記憶や情景を呼び覚ますことができます。
小さい頃から親の影響でアロマに馴染みがあり、
生活の中で当たり前にあった「香り」という存在ですが、
香りというものは、
ただ「良い香り」として存在しているだけではなく、
科学的にも理由のあるものであること。
そしてさらに効能だけでなく、
記憶や体験からくる
「記憶装置」としての力があることを知り、
香りの持つ力を再認識しました。
「空気感」を完成させる「香り」。
話は戻りますが、先ほどお話しした通り、
以前から、海外旅行に行った体験談を話すとき、
その「空気感」を伝えるためには
写真や映像で伝えるしか方法はありませんでした。
特に今回のポートランドでの体験は、
みんながイメージする海外旅行とは違い、
「当たり前の朝」を伝えたかったのですが、
感覚の共有というものは曖昧で、
映像では伝えきれません。
…でも、香りには記憶装置としての力があります。
では、あのポートランドの生活で体感した
静かな朝を
香りを使って再現することが
できるのではないでしょうか。
そして、そもそもなぜポートランドの朝が
静かで心落ち着く印象に感じたのか。
それは、外から香ってくる草木の成分も
少なからず影響しているのではないか。
そう、天然香料には自然の持つ力もある。
それであれば、天然成分による効果のある
香料でなくてはならない。
天然の香料を使用して
植物の持つ成分を活かしながら、
ポートランドの朝の香りを
なるべく本物に近い形で再現しよう。
そのように、私の中で決意が固まりました。
第一弾「Cedar Hills 6:00 AM」
2025年12月、The WeiRdの第一弾として、
ポートランド郊外、
午前6時の朝露の香りを発売しました。
もちろん、天然香料を100%使用しています。
The WeiRdのブランドを立ち上げるにあたって、
やはり香り開発のきっかけとなった
「ポートランドの朝」は
第一弾として外せませんでした。
あの時の、あの時間の、あの空気を
一人でも多くの方に体験してほしい。
そして、海外旅行や海外生活の良さ、
ポートランドの良さを多くの方に知ってほしい。
それは、写真や映像だけでなく、
香りそのものや草木の作用を通じて。
海外旅行やポートランドが好きな方はもちろん、
「旅行が好きだったけど、忙しくて行けなくなってしまった」
「海外への憧れがあるけれど、踏み出す勇気がない」
「昔、海外に住んでいた」
「ポートランドという街に興味がある」
そんな方にもぜひ香りを体験していただき、
ポートランドの朝を擬似体験していただき、
いつでもどこでも、
ポートランドの朝を過ごしていただきたいです。
そして興味を持っていただき、
実際に訪れるきっかけにもなってくれたら嬉しいです。
The WeiRdの「これから」。
さて、ここまでThe WeiRdにおける開発背景と
私自身の経験に触れてきましたが、
これからThe WeiRdはどのような未来を描くのか、
ということをお話します。
「ポートランドの朝」から始まったブランドですが、
ポートランドに限らず世界各国、日本各地で
「香りとして、空間として残したい」
と思ったものを開発していく予定です。
そして、第一弾のポートランドの朝では
郊外の静かな朝に焦点を当てていますが、
例えば、シュノーケリング体験の後に
身体の疲れを癒すように
ふんわり包み込んでくれる
暖かな潮風の香りだったり、
夜景の綺麗なルーフトップバーで感じた
カクテルと冷たい街の香りが混ざる
アーバンで大人な香りだったり、
ジャングルの中を船で渡っているときの
少し緊張感のある中で刺すように香る
土の香りや草木の香りだったり、
枠にとらわれず
様々な空間を表現していきたいと考えています。
「旅というものには何万通りもの楽しみ方がある」
そういったことを、
香りを通じて伝えていけたらと思っています。
2025年12月4日

